ミュージカル『刀剣乱舞』にっかり青江 単騎出陣 感想

単騎出陣という流れを作った加州清光、
それを汲みつつ全く違う単騎出陣を見せてくれたにっかり青江。
当時最年少の役者が始めたことを、最年長の役者が昇華させていくことに感動する。
2年かけて全国を回ってくれたこの公演は異質であり、
非常に繊細だ。
本来の芝居というものはこういうものだし
アンサンブルもおらず本当にひとりきりで舞台に立ち
派手な演出もなくすっきりしていて
あらきさんの実力を余す所なく見せてくれる作品。

刀ミュ作品の中で一番脚本として完成されていると
個人的に思っているのは三百年だ。
その続きであるあおさくも含め、こうしてあの時の
壮絶な任務のことをぽつぽつと語ってくれるのも沁みる。

検非違使に立ち向かい、『向こう側』へ行きかけた。
守るための強さでも立ち向かえないなら僕らにできることって一体なんなんだろう。
歴史を変えることができるという誘惑。
久々に芯の通った自分が好きだった刀ミュの世界観を感じた。

髪の振り乱し方、面をつけての演技、剥ぎ取ってからの演技、
暴れながら幽霊を表す布を剥ぎ取る様子等など
幽霊との会話のシーンの演技力と美しく恐ろしい演出の仕方も素晴らしい。
向き合うことが怖かったけれど、これからも後悔し続けるという選択。
何故なら切ったことは事実だから。
それが歴史だから、自分の弱さを受け入れる。

刀剣乱舞の曲がかかる中、修行先からの手紙の言葉たちが紡がれる。
「他人が何を言おうと、それを覆すだけの事を成せばいいのさ」
あの幽霊との対峙の狂乱ぶりを見てからだと
この言葉が重く強く感じられる。
そこからの極姿での刀剣乱舞の歌唱は最高だ。

柔らかい最後の「ただいま」も良い。

この極姿の青江は、本公演でのお披露目はあるだろうか。
あっても時間軸を変えて上演するのでもなければ
ずっと先な気がしてしまう。
今のあの本丸にこの極姿の青江はそぐわない気がしてしまうのだ。
しかしながらライブイベントでみんなと楽しそうに笑っている青江を見ると
心から笑えていると良いなと思うし、嬉しい気持ちになる。