3月のライオン (10) 感想

零くんが幸田家に挨拶に行く話は印象的。
けじめで挨拶に来ただけでもう来るつもりもなく、
タロウと会えるのも最後だと零くんは思っているのだろう。

後ろめたいままではなくて、まぁもういいか
と思えるようになったなら、やり直した甲斐はある。
3分先は光、
いっこいっこやるしかないと人から貰ったものを大事に
前を向けるようになったのがとても良い。

脇役の棋士の読み切りはどれも本当に素敵で
短くてもぐっと引き込まれる。
深海で得体の知らない生き物を見る、静かで怖く
深い描き方にぞくっとした。

生ぬるい雨の匂いという表現も好き。

父親を家にあげなければ良いのにと思ってしまうが。
零ちゃんが早めに着いてくれて良かった。
深刻な空気が分からずコーンクリームコロッケを食べながら
コーンクリームの歌を歌っているモモちゃんがリアル。
あかりさんだって長女とは言えまだ歳若く、
事がことだけに冷静でいられる訳もない。
相手がきっちり社会人であることも知らない男に
はっきり事実を突きつける零ちゃんがすごいし、
協力してくれる先生たちも好きだし、
妻子捨男のネーミングがぴったり過ぎる。

「他人の気持ちを考える人間」が
「何も考えてない人間」に勝てる訳が無い。
だから空気が読めない桐山、という先生の言い草は
ちょっと酷いものの、
すきな女の一大事に「空気読んでて何も出来ませんでした」
じゃ男に生まれた意味がない、というのが恰好良い。