連続ドラマW フェンス 感想

さわりだけ見て、気分が重くなりそうな主題だと思い
ちょっと今は見られないとペンディングしていたものを
思い立ってやっと見た。

沖縄の基地問題や人種差別、女性蔑視など
様々な問題が織り込まれており
通り一遍の左翼的な内容だったら嫌だなと思いながら
見ていたが、共感できる部分も多かった。
内容としては辛いものではあったが、
当然ながら犯罪者もいれば真っ当な人もいる訳で
だから救われるというほど簡単ではないが
それでもなんとか前を向いて歩いていくしか無く
それぞれが出来ることをするしかない、
というようなことを多少明るい気持ちで再確認できる
ドラマであった。

沖縄を舞台に、沖縄出身の俳優さんを多く使っているところも好感が持てる姿勢。

米軍が敵という描かれ方ではなく
基地で働く人も真っ当な軍人さんもいて、
日本人でもクズはクズで、
クズではなくても忖度で動けない人もいて、
主人公の一人のキーが常に正しい訳でもなく
善良な人間でも間違いを犯さない訳ではない
という描かれ方がリアリティがあり、
逆に言えばだから”ごちゃごちゃしている”という
感想を抱く人もいるのかもしれないが、
自分は非常に興味深く見た。

初めは桜に同情し、風向きが変わってくるが
事実が判明すると納得し、
という謎解き的な話の作りも流石に上手い。

個人的には青木崇高さん演じる伊佐さんが
人間味があって好きだった。
良い人そうで、おまわりさんだけれどキャバクラで
息抜きすることもあり
避妊もせず交渉を求める身勝手さ。
本当に悪気が無く、間違っても妊娠する側ではないからこその気軽さで
キーがどれほど不安になり傷つくかということには
思いが至らない。
しかし男というのは大体こんなもので、別に伊佐は悪人ではない。
寧ろかなり正義感に溢れる善良な人である。

実際にこうした義理人情や武士の情が
米軍相手に通じるものなのかはわからないが、
上官が伊佐の話を聞いて部下を表向きそうは見せず
引き渡してくれるシーンでの
涙を溜めての伊佐さんの演技が、警官であり男であり
ひとりの日本人である誇りが見えて
泣けてきただけに、上官の行為に肩の力が抜けた。

仲本颯太もまた、土地柄と家族に振り回され
そこから一歩踏み出したどこにでもいそうな
リアリティのある青年で、與那城奨さんの自然なお芝居がとても良かった。