あまり自分には合わなかった。
小説というより、ばななさんのメルマガを読んでいるときに近い気持ちがした。

付き合っているだけで洗濯はしないだろう。
昭和の押しかけ女房の発想だ。
一緒に住んで初めて、どうせ洗濯機を回すから一緒に洗うし
それは女性の方がするべき仕事という訳でもない。

好きになった訳ではなくて美人から奪おうという発想の恋愛は
ただただ気持ちが悪い。
キヨカはよく病室に行こうと思うし、名乗ろうと思ったものだ。
というか、あれはお見舞いだったのか?

手から餃子に悪いものが吸い取られたら、その餃子を食べたら
影響がありそうな気がしてしまった。

新さんに謝りに来るなんて、若いお母さん意外にしっかりした人だ。
先生同士が仲良しなのは知っているが、ハチクロの名前を出されたのは
しかもこういう出し方をされたのはなんだか嫌な気持ちになった。
人の関係というのは複雑なもので、別に『あんな展開』と言われるほど
気持ち悪いものではない。

なんでも恋愛的なことや性的なことに持っていかれるのも違和感がある。
なんで妻子がいるのに、父親がラブドールを部屋に置いていて
しかもそれを娘が知っているのだ。虐待では。

新さんがゲイかもしれないと思ったとして、自分が恋愛対象かも
と思い込めるところも気持ちが悪い。

ぼたんどうろうはちょっと好きだった。
ともちゃんのお母さんの物わかりの良さが違和感はあったけれど。

リードを離してしまったことが主人公との出会いのきっかけだったのに、
「紐につながなくてもいなくならない」はあまりに説得力がなさすぎた。
下品ぎりぎりというか、別に言わなくてもいいのになと思うことを
主人公がぽんぽんと言いがちだ。

あとがきの一見こういう読み物に見えるけど実は違う、という文
一見そういう読み物に全く思えなかったけどな。
確かに舞台は下町で、ばななさんの思う下町はこれなのかもしれないが、
度々出てくる”下町ルール”に違和感しかなかった。
それは別に下町のルールではないし、あんまり良いエピソードでもないのでは
という感じだった。