すずめの戸締り 感想

鈴芽がどうしても好きになれない。
言動が不愉快なものが多く、男性が書いた女子高生という感じがする。
ファンタジー部分は良いのだが、ならば他の部分はリアリティを持たせてくれないと
全体のリアリティがどんどんなくなっていく。
ファンタジー部分にしてもあまりに設定がふわふわだ。

学校をサボって突然いなくなり地震も多発していて
母親を震災で亡くしている姪っ子の保護者になっているおばさんの立場で考えたら
心配して当然なのに、子離れができていないと冗談でも言える神経が信じられない。
出てくる大人たちもまともな人がいない。
千果は割と好きなキャラクターではあったが、民宿に招き入れたなら
周りに大人たちが当然いるわけで、事情も聞かず保護者に連絡もせず
二ノ宮ルミに至っては家出少女だと思いつつも連れ回し
挙句の果てに裏方とはいえスナックで働かせる。

いくらでも自分のせいで椅子になってしまった人を見捨てられないのはわかるが
一晩友達の家に泊まる程度ではなくもう少ししっかり言い訳を作って欲しいし
なんならご都合主義にありがちな未成年なのに1人暮らし設定の方がマシだったと思う。

草太にしても何らかの勝算があるのかと思いきや
椅子の姿になったら本を取ることも自分ではできないのに
鈴芽に帰れと言って、一体一人でどうするつもりだったのだろう。
家業である閉じ師という割に、祖父は入院していて
父は不明だし、草太は椅子になってしまっていて
家業として成り立っているように見えない。
たった一人の跡取りだとしたら、だとしたらそれだとしたらそれが要石になって
今後もしまた要石が抜けてしまったら誰がどうするつもりなのか。
試験も受けられないし今後もあちこち閉じて回るなら
一般人としての生活は難しいと思う。
仲間なりフォローする団体なりがいるのがセオリーだろう。

ダイジンが自由を手に入れて鈴芽に優しくされて嬉しかったのに
あんな態度されて可哀想だ。
事情がわかる人が少ない中で、一時の感情でダイジンと決裂するのは失敗だと思う。
自由を謳歌したら最後は要石に戻るという話なのかなと思っていたが
まぁ大筋そんな感じだった。
鈴芽の子になれなかった、という言葉は悲しかった。

芹澤は本作の中ではまぁ好きなキャラ。
しかし能天気というかお人好しというか
見知らぬ女性2人を長距離ドライブで送り届ける役を押し付けられ
特に事情説明も求めず2人に振り回されるまま。
「犬と違って猫は理由もなくついてこない」
って、犬は意味無く着いてくるとでも?

環は本作で一番まともな大人だと思うがそれでも色々と酷い。
事故を起こしてJAFも呼ばず、車と運転手を置いて
何故か都合よくボロボロで捨てられているのに
パンクもしていなければフレームも歪んでいない自転車があって
良い大人が2人乗りで移動し
子供の靴を買ってあげるでもない。
鈴芽にしても、猫が喋った時点で事情を説明すれば良いのに。

重い主題を扱った割に全てがふんわりしていた。
人の思いが薄れたところから扉が開く、という台詞はなるほどなと思った。